(赤旗)「家族保護条項って?山口智美さんと考えた」

キャンペーン呼びかけ人の山口智美さん(モンタナ州立大学准教授)が共産党の機関紙「赤旗」のインタビューにこたえました。キャンペーン発足時の集会写真も。大きな記事です!ぜひお読みください。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-08-29/2017082903_01_0.html

FireShot Capture 010 - 2017とくほう・特報_「家族保護条項」って?_米モンタナ州立大 准教授 _ - http___www.jcp.or.jp_akahata_aik17

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(他団体)9月3日(日)憲法学習会「9条と24条改憲がねらう「戦争する国」と、それを支える「家族」とは」

9月3日に千葉で9条と24条についての学習会が行なわれます。近くの方、ぜひ。

 

《千葉9区市民連合》主催 憲法学習会
「9条と24条改憲がねらう「戦争する国」と、それを支える「家族」とは」
日時|9月3日(日)13時半〜15時30分
場所|志津コミュニティーセンター2F大会議室(http://www.city.sakura.lg.jp/0000016319.html
講師|清田乃り子さん(弁護士・千葉9区市民連合共同代表)
参加費|無料

(東京新聞)【言わねばならないこと】(97)社会の軍事化が進む 家族法・憲法学者 清末愛砂さん

キャンペーン呼びかけ人の清末愛砂さんが、東京新聞1面のシリーズ【言わねばならないこと】に登場しました。ぜひお読みください。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/iwaneba/list/CK2017081902000197.html

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(週刊金曜日)8月4日(1147)号「武装しないための「理論武装」」

週刊金曜日の憲法特集で、24条についてキャンペーン呼びかけ人の清末愛砂さん、「女性のレッドアクションとやま」の小林和子さんが寄稿しています。ぜひお読みください!

http://www.kinyobi.co.jp/

24条から自衛隊明記・緊急事態条項を斬る!改憲勢力が「家族」条項を狙う理由
清末愛砂

個人を尊重し軍事主義を否定する24条は9条とともに憲法の非暴力・平和主義を支える条文である。ゆえに改憲のターゲットにされつづけてきた。24条の視点から、自衛隊明記と緊急事態条項新設の危険性を読み解く。

戦争をゆるさない、女性のレッドアクションとやま“保守王国”富山から「24条変えさせない」声をあげる
小林和子

“草の根保守”が強い富山県。自民党が多数を占める県議会では改憲促進の決議がなされ、個人の生き方に介入する政策が次々と打ち出されている。「ちょっと待った!」と女性たちがストップをかけた。

(ダイヤモンド・オンライン)家族の貧困、助け合うほど苦境が深まる残酷な現実

ダイヤモンド・オンラインに掲載されたライターのみわよしこさんの記事「家族の貧困、助け合うほど苦境が深まる残酷な現実」がヤフーで全文読めるようになっています。
『フォアミセス』で連載されていた、さいきまこさんの『家族の約束~あなたを支えたい~』を紹介しながら、社会保障が脆弱なこの国で「家族の絆」だけではどうにもならない現実、むしろ「家族の絆」が貧困を深めてしまう現実についての記事です。
2012年に自民党が公表した憲法草案は、24条で社会の基礎的な単位を個人から家族に変え、家族の助け合いを明記しました。また、前文を全面改定し、「家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する」と盛り込んでいます。
国政の状況は不透明ですが、安倍首相は改憲への意欲をあらわにしていますし、改憲右派勢力も地道な活動を続けています。
みわよしこさんの記事、ぜひお読みください。

家族の貧困、助け合うほど苦境が深まる残酷な現実

 

これに関連する動きについて朝日が報じていました。まさに24条改悪を先取りする動きといえます。

生活保護の「扶養義務」を調査へ

2017年7月20日06時00分
生活保護を受けている人を扶養できる可能性のある親族に自治体がどう対応しているのか、厚生労働省が実態調査に乗り出すことになった。扶養する経済力があるのに不適切に扶養義務を逃れている場合の対応について、改善させる狙い。調査は秋までに始める。

厚労省が19日に開かれた自民党の部会で明らかにした。生活保護法では、民法で扶養が義務づけられている親族から援助を受けることが生活保護に「優先して行われる」と規定している。ただ、親族が扶養できるのに生活保護受給者への援助を断った場合でも、受給の判断には影響しない。

一方、生活保護問題対策全国会議事務局長の小久保哲郎弁護士は「調査が保護を受けさせない『水際作戦』に使われ、必要な保護が行き届かなくなる恐れがある」と懸念している。

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他> http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/ (井上充昌)

※ちなみに、朝日新聞ウェブサイトで2017年7月20日05時00分にアップされた同じ記事では、見出しが「扶養義務逃れ、改善狙い調査 生活保護で厚労省」となっています。

(7.7報告④)まやかし「加憲」も「改憲」も、どっちも危ない!-24条が安倍政権と改憲右派に狙われる理由

7月7日に行った集会の報告もこれで最後です。24条改悪の動きと道徳、家庭教育支援法案についての動向報告と質疑応答部分をアップします。

 

24条と道徳、家庭教育支援法案について(キャンペーン事務局から

 「道徳」は、これまで週に1回、「道徳の時間」などでやってきたものですが、2018年度から小学校で、2019年度から中学校で、教科書を使って教え、採点もされる「教科」の1つになります。
 日本では敗戦後、「修身」の停止、「教育勅語」の排除・失効決議を経て、1947年に日本国憲法とともに教育基本法が施行となり、教育の民主化が始まります。その後起こった「逆コース」の流れの中で、戦後民主教育への攻撃、道徳の教科化への圧力もありましたが、子どもたちの道徳心は教科ではなく学校教育全体の中で育むんだということで、58年に「道徳の時間」が作られました。しかしその後90年代後半から、同法見直しの動きが高まり、2006年の教育基本法改悪を経て、2015年の学習指導要領一部改定により、道徳は教科化されたのです。

 そしてこの3月、2020年度以降に使う新しい学習指導要領が出ました。10年ごとに改訂されるものですが、今回の学習指導要領は、安倍政権が06年に改悪した新・教育基本法の内容が十分に反映されたものとなっています。
 来年度から小学校で使われる道徳教科書の検定結果が、やはり3月に出ました。検定対象となった66冊に合計で244件の検定意見がつきました。「パン屋さんを和菓子屋さんに」などの意見がついて話題になりましたが、一冊あたりの検定意見は3.7件。これは異例の少なさだそうですが、文科省がつくった『私たちの道徳』や『小学校道徳読み物資料集』を参考にし、各社横並びで”忖度”した結果だと言われています。たとえば、「かぼちゃのつる」という題材は「わがままな振る舞いは抑える」という徳目として、すべての教科書に掲載されている、というような画一化が起きています。

 改悪された新・教育基本法には、「家庭教育の重要性」が明記されました(第10条)。これにもとづいていくつかの自治体で「家庭教育支援条例」が制定されており、自民党は法案を上程しようと準備しています(昨年秋の素案はこちら)。
 その実施として、たとえば家庭で話したことをレポートにして学校に提出する、など保護者に宿題を出す例が挙げられていて、学校や国などが、家庭に踏み込んで指導、介入しようとする動きが広まることが懸念されます。
 このように、「教育改革」は、子どもだけでなく、家庭や地域=すべての「国民」を巻き込む形で進められようとしています。それは、あるべき「国民」を育成するために、あるべき家族像を規定し、国家権力が望む方向に人々の「生」そのものを誘導していこうとしていく動きではないでしょうか。

 そういう意味で、24条の改悪反対、ということと同時に、この道徳教科化や家庭教育支援法案を含む、私たちの尊厳や生き方を奪うあらゆる動きに対して、きちんと分析し、批判し、抵抗していく必要があると考えています。

 

質疑応答

Q「個別的自衛権は必要だと認めるが集団的自衛権は違憲だ」という1972年の政府見解がありますが、清末さんはどう考えますか。

A 憲法学上の通説に基づけば、これまでの政府見解がどうかという以前に、憲法9条1項2項の解釈は、自衛隊は戦力以外のなにものでもなく、「軍隊」だということ。つまり、集団的自衛権以前の問題だと思います。私は9条を現実的な平和主義という観点から評価しているし、私の立場は、9条1項は戦争や、武力行使、武力による威嚇を全面的に放棄し、戦力に関しても全面的に禁止しており、武力に基づく自衛権を、個別的・集団的に関わらず一切認めない、というもの。少数派の意見ではありますが、これが最も現実的な平和を生み出すものと、私は考えています。(清末)

Q スピリチュアル系と右派のジェンダー観は親和性が高いと思いますが、どう考えますか。

A 右派団体である日本会議にはさまざまな宗教団体が関わっていますが、それらの団体にはある程度共通する価値観があります。とくに、ジェンダー観、家族に関する考え方は共通する点が多く、それが24条を共通の改憲項目としてあげていることにつながっていると思います。 スピリチュアル系にも、そうした宗教的な団体に共通するものと近い価値観を持っている人たちもいるのではないかと思います。(山口)

Q 緊急事態条項が長期政権を招くというプロセスについて、もう少し説明を聞きたいのですが。

A 緊急事態条項が実際に効力を発するときというのは緊急事態宣言がなされたとき。宣言がなされていることを理由に選挙を引き伸ばし、議員の任期を引き伸ばすことによって長期政権の維持が可能になります。その期間には、第二、第三の改憲の発議が可能になるのではないでしょうか。そういう意味で、今回の明文改憲と緊急事態条項の新設は彼らのなかでは一体化したものなのではないかと思っています。(清末)

Q 家庭教育支援法案の関連の話をもっと聞きたいのですが。

A 家庭教育支援関係の先進県である埼玉県庁に取材に行きました。埼玉県は、熱心に家庭教育に関連する取り組みをやっている県です。例えば、学校入学前に子どもたちは健康診断を受けますが、その時間を使って親には「親の学び」という講座を受けさせているということです。また、子どもたちには授業などで「親になるための学び」を受けさせる。こうしたものを受けたい人が受けるのではなく、全員が受けねばならない、ということになると問題も出てくるのではないでしょうか。また、熊本県を皮切りに家庭教育支援条例が成立している県や市町村も多数出てきているので、そうした自治体は条例のもとで家庭教育に熱心に取り組んでいるようです。 このように、家庭教育について先進的試みをしているとされる自治体での取り組みの事例は、家庭教育支援法が通った場合にどういう施策が行われていくかの参考になると思います。(山口)

Q 24条改憲を危惧していても、「家庭や家族は大切だ」と言われると反対しにくいものです。「家族は大切でしょう」とか「あなたは気にしすぎでは?」と無邪気に言う人たちに対して、この状況をわかりやすく伝えていくにはどうしたらいいでしょうか。

A1 PTAなど地域で活動している人たちに、「3世代同居がいい形だ」と政府が推奨する動きがあることを話すと、「ひとり親など、事情もありながらいきいき暮らしている人たちがいるなかで、それは良くない」、と言う人が多いんですね。選択的夫婦別姓についても、「認められないのはおかしい」と言う。私は政治家や右派運動の人よりも、そうした一般の人たちを信用しているんです。話せば伝わるので、臆せずに発信していくことが大事なのではないでしょうか。(打越)

A2 一番有効なのは、家族が大切なら25条に基づく社会保障をもっともっとやれ、と主張することだと思っています。25条が死文化している深刻な状況がありますので、なおさら25条を強調することが重要です。24条は当事者主義に基づいて、さまざまな家族のありかたを可能とする条文です。そうしたさまざまな家族のニーズにあわせた支援を、25条に基づく社会保障の下でやることが求められています。。家族が大事というなら、その方がよっぽど建設的だと思います。(清末)

A3 日本政策研究センターが自民党案を批判してまで24条の「加憲」を主張し始めたのは、やはり自民党案では反発がくることがわかっているからだろうと思います。ただ、24条を現実的に改憲項目にあげた場合、どれほど女性からの反発があるのかは、右派の人たちも読めていないのではないでしょうか。同時に、それにもかかわらず未だに家族のあり方を改憲項目の優先事項としているのは、右派の人たちの家族保護というものへのこだわりが相当強いということでもあると思います。

家庭教育支援関連については、批判するのは難しいところもありますね。でも、先の埼玉の例のように、現実的に何が行なわれているのかをまずは知り、問題点があるのであれば、それを見極めて具体的に指摘していくこと、それが重要ではないかと思います。(山口)

(7.7報告③)まやかし「加憲」も「改憲」も、どっちも危ない!-24条が安倍政権と改憲右派に狙われる理由

打越さく良(弁護士・夫婦別姓訴訟弁護団事務局長)
「本当に、「日本に家族保護条項は必要」なのか?」

 今回は憲法24条に加えることが必要、だと一部で言われている「家族保護条項」について考えてみたいと思います。そのためにここでは、「必要派」の伊藤哲夫氏、岡田邦宏氏、小坂実氏の共著『これがわれらの憲法改正提案だ』(日本政策研究センター、2017年)から、

 小坂氏論文「憲法に『次世代を育成する』家族保護条項を」
と、著者3名による鼎談、
「討議 『改正反対論への反駁3 家族を否定すれば個人の基盤も壊れる』」
をとりあげて検討してみましょう。

 まず、小坂論文は「家族」について「次世代の再生産機能を担う集団」「社会を構成する最も基本的な単位」という2点については「ほぼ普遍的な共通認識」と断言しています。でも、家族の概念は、歴史の中で変わってきています。現代家族に「公序のため」といわんばかりのこれらの旧弊な認識は馴染まないのではないでしょうか。

 また同論文は、「家族保護条項は(世界各国で)ほぼ一様に規定されている」としていますが、「国際人権条約」の家族規定も、各国憲法における家族規定も、様々です。中でも先進資本主義国家型憲法ではむしろ家族の中の個人を守る「母性保護」、「婚外子保護」などを備えるなど、社会権的規定を重視しています。

 そもそも小坂論文は、世界人権宣言等を一部だけ切り取って取り上げる一方で、その前提として同宣言に書かれている「自由、平等」には触れなかったり、より新しく制定された、自己決定権や実質的平等を志向する「女性差別撤廃条約」や、「ILO156号条約」等をすっかり無視したりしています。それは恣意的な取り上げ方ですね。

 そして同論文は少子化対策のために、比較的高い出生率のフランスやスウェーデンのような「家族保護規定」が必要、としていますが、2国とも家族手当や手厚い育児支援、婚外子保護など多様な家族のあり方を尊重していることが高い出生率の背景と言われています。一方日本の晩婚化、晩産化の原因は若い世代の所得の減少や、性別役割分業が未だ強固で女性に家事育児が偏っていること等による部分が大きいもの。右派が主張する、多様な家族や個人の尊厳を否定しかねない家族保護規定は、少子化対策とは逆行するのではないでしょうか。

 実はこの3者による鼎談では、私が「家制度の復活」を目論んでいると彼らを決めつける「デマゴギー」とやり玉に上げられています(笑)。ですが、個人主義を後退させ、共同体としての家族の価値を称揚し、男女不平等に家族における役割を果たせと呼びかけること、また婚姻における平等や当事者の合意という横のつながりではなく、血縁を強調し縦の流れを重視して、孝養、扶養の義務を唱える彼らの考え方は、まさに家制度のエッセンスを復古しようとするものではないでしょうか。

 また、家族の戸主に対する従順と忠実が天皇に対する国民の従属と忠実とパラレルである点も、家族、地域社会、国家における役割を並べて指摘する改憲右派の議論と重なっていますよね。社会福祉政策を充実させるよりその機能を家が肩代わりせよという志向にも、戦前の家制度の残滓を色濃く感じます。

 このように考えると、やはり、「家族保護条項(規定)」は、日本には必要ないものであり、ましてや24条に加える必要などまったくない、と思います。

(7.7報告②)まやかし「加憲」も「改憲」も、どっちも危ない!-24条が安倍政権と改憲右派に狙われる理由

清末愛砂(室蘭工業大学大学院工学研究科教員)
24条から自衛隊明記・緊急事態条項を斬る!」

 ここでは、自民党が最初の改憲ターゲットとしている4項目のうち、9条への自衛隊明記問題と緊急事態条項の新設問題に着目し、24条の精神に基づいて批判したいと思います。それに先立ち、非暴力と平和主義の観点から24条の意義を再考してみましょう。重要なポイントは次の4点です。

家制度の廃止を含む、明治民法の大改正をもたらし、女性に解放と自由を実現させた。
現存する(近代)家族内の性別役割分担に基づくジェンダー差別や、暴力に抗する権利を規定している。
男性支配に基づく軍隊秩序および軍事主義が、その維持・拡大のために必要としてきた特定の「家族秩序」を否定するものであり、9条とともに平和主義を構成している。
前文にうたわれた「恐怖と欠乏からの解放」によって成り立つ平和的生存権と25条(生存権)は、とりわけ「欠乏」という面で結びついている。また24条の個人の尊厳を前提として25条が存在していることから、結果的に24条は前文の平和的生存権と25条を結ぶ役割を担っている。

 ここからわかるように、24条は、非暴力をベースとする平和主義/平和的生存権を構成するうえで重要であり、前文、9条、13条、14条、25条と一体として認められる条文です。

 その24条に「世代間助け合いによる社会保障の維持のために、『家族の保護』を導入すべき」と主張する人々がいます。しかしそれは24条の示す個人の尊厳を踏まえつつ生存権や社会保障に触れた25条の下でこそ、拡充すべきもの。24条にそのような文言を導入する必要はまったくありません。

 では、自衛隊明記論と24条の関係はどう見るべきでしょうか?

 上述のように軍事主義を明確に否定する観点からすれば、24条の意義や精神は自衛隊明記論とは真っ向から対立するものです。そもそも自衛隊の装備や人員等を見るならば、それは自衛力として説明できるようなものではなく、憲法が保持を禁止する「戦力としての軍隊」であることは明らかです。まずはここから、自衛隊明記論を問題とすべきです。9条への自衛隊明記を単なる<加憲>と考え、それを安易に認めると、安全保障法制下での軍事主義の拡大を肯定することにもつながります。

 また、法学では常識である「後法優先原則」(=後に加えられた条文は以前からある条文より優先される)により、「自衛隊明記」をすることは現行の9条1項と2項の「死文化」を意味します。このようにして最初の明文改憲が成功すれば、第2のステップとして右派が目標とする9条2項の改正が容易になり、自衛「軍」の設置が求められることになるでしょう。私たちの未来や次世代への影響を考えると、今ここで軍事主義の拡大につながる道を開くことは、大変危険であると言えます。

 もうひとつの加憲項目、「緊急事態条項」の新設は、自然災害対策を前面に押し出し、国民に受け入れやすい形で主張されてきました。しかし権力の濫用を可能にする同条項新設と、自衛隊明記が実現されてしまうと、たとえば自衛隊が堂々と「公共の秩序の維持」(自衛隊法31項)の名目で、各種の市民団体や労働組合等で活動する民衆の「鎮圧」を行う可能性が高まります。とりわけ沖縄の反基地運動への行使が懸念されます。また、同条項が長期政権維持の手段として用いられ、憲法改正などに利用される可能性もあります。このような強権的政府が支配する社会というのは、「個人の尊厳」をうたう24条の意義や精神に反するものと言えるのではないでしょうか。

(7.7報告①)まやかし「加憲」も「改憲」も、どっちも危ない!-24条が安倍政権と改憲右派に狙われる理由

安倍政権の改憲の動き、中でも24条の改憲について、最新の情報と危機感を共有すべく、当キャンペーンでは、先の7月7日に、上記のようなイベントを開催しました。

参加者は48人、来場者からのカンパは22,020円にのぼりました。ご参加、ご協力、どうもありがとうございました。いただいたカンパは、今後の活動に役立てたいと思います。

今回のイベントを開催した背景は、今年の5月3日、憲法記念日に、安倍首相が表明した「加憲」発言に対する危機感です。この発言を受けて先の国会会期内に政府は、憲法審査会を開き、改憲にむけての議論を進めようとしています。また秋の国会会期中に開く予定の同審査会にむけては、各党にも「改憲案」を提出するよう、求めてもいます。

この6月に自民党憲法改正推進本部は改憲項目として「自衛隊の明記」「教育の無償化」「緊急事態条項(大災害時を念頭に衆院議員の任期を延長する緊急事態条項の創設)」「参議院選挙区の合区解消」の4つを例示しました。そこには24条改憲または加憲についての言及はありませんが、24条に「家族保護規定」を加える動きは引き続き活発だと私たちは考えています。

その前提で、今回のイベントでは当キャンペーン呼びかけ人の3名が、安倍政権とその周辺で24条改憲を推進しようとする右派らの動きや意図について、各自の視点から問題提起しました。

各登壇者の発言と質疑応答の概要を簡略にまとめたものを、順次紹介していきます。

ぜひ、ご一読いただければ幸いです。

 

山口智美 (モンタナ州立大学教員、文化人類学)
右派が「加憲」にこだわる理由

24条を変えようとしているのは誰でしょうか? 彼らはどんな動きをしているのでしょうか?

改憲右派として活発な動きを見せている団体には、日本最大の右派団体「日本会議」とその女性部の「日本女性の会」、日本会議系の右派が憲法に特化した運動体として立ち上げた「美しい日本の憲法をつくる国民の会」などがあります。これらの改憲右派はこれまで、次のような活動をしてきました。

・国会議員署名
・地方議会での憲法「改正」決議の推進
・国民投票に向けての名簿作りを目指す1000万人改憲署名運動や大規模集会
・「憲法おしゃべりカフェ」など小規模な勉強会の開催
・全国各地を回るキャラバン
・改憲DVDの上映運動

そして最近はインターネット動画サイトとして「KAIKENチャンネル」を立ち上げるなど、さらに多彩な活動を展開し、改憲スケジュールを立て着々と改憲に向けて取り組んでいます。

そのような動きの中で安倍首相から発された、現行9条に自衛隊を明文で書き込むという「改正」表明は、唐突に見えて実は、改憲右派の間では以前から主張されてきたものです。

憲法に不足しているところを補うという、「加憲」を目指すべきだという主張は例えば、安倍首相のブレーンと呼ばれる伊藤哲夫氏を代表とする「日本政策研究センター」の発信にもみられます。同センターの最新刊行物『これがわれらの憲法改正提案だ』(伊藤哲夫、岡田邦宏、小坂実 2017年)では「現行24条には手を触れるつもりなどない」が、それを補完するものとして家族保護の条項を加えた「加憲」を目指すべきだ、と明言しています。一方これまでの自民党の24条改憲案は、家族の保護に言及せず『家族は、互いに助け合わなければならない』と定めているために護憲派の反対を招いている、と彼らは主張しています。

つまり、彼らが現行24条に手を触れないのは、24条を尊重しているからではありません。24条が少子化や家族の崩壊を招く、というのが彼らの基本認識。個人ではなく家族を「社会を構成する最も基本的な単位」 とし、家族は「次世代の再生産機能を担う集団」とする考え方、別姓や性的少数者など、多様な家族のあり方を許容しない姿勢など、現行24条を否定する方向性は同書にも明らかで、そこは揺らいではいないのです。

そもそも彼ら改憲右派の考える「加憲」というのは、リベラル派でも意見の割れやすい「自衛隊明記」などを掲げて憲法を変えさせたくない人たちの分断を狙い、まず改憲の前例を作り、その後さらなる改憲につなげていこうとするもの。24条も含め、人々の同意を取り付けやすい、と彼らが考えている「加憲」論は、自民党改憲案と同じように危ないものなのです。

 

(他団体)公開研究会 道徳的保守と性の政治の20年—LGBTブームからバックラッシュを再考する

キャンペーン呼びかけ人の山口智美さんが登壇するイベントです。24条改悪を目指す改憲右派勢力と重なる層が2000年代に性教育や男女共同参画を執拗に攻撃したことは記憶に新しいですが、その中で十分に議論されたとは言えない論点があります。昨今の「LGBTブーム」からバックラッシュを振り返り、日本の性の政治について考えるシンポジウムです。ぜひご参加ください。

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